住宅基本法制定の前に

緊急アピール: 住宅基本法制定の前に

建築基本法制定準備会 会長 神田 順

今年に入って、本会においても「住宅基本法」制定の動きを取り上げ、議論してきておりますが、この夏にかけての具体的な取り組みの必要性を、全会員に緊急アピールします。

わが国の住宅政策は、「住宅建設計画法」に基づき5 年ごとの基本計画にそった政策展開が8 期40 年されてきました。国土交通省の説明では、「量よりは質」の時代ということで、住宅基本法の形で、質の高い住宅へ向けての政策転換をはかろうとのことです。

また、5 月11 日朝日新聞「私の視点」の投稿で「住宅基本法の前に建築基準法の見直しを」と主張させていただきました。また伝えられるように、住宅産業への金融緩和をうたう、経団連の提案もあります。

現在、国土交通省・社会資本整備審議会・住宅宅地分科会・基本制度部会においては、すでに報告書がまとめられ、7 月上旬にも国土交通省のホームページに掲載、パブリックコメントを求めるとの情報もあります。このあと、法案審議、閣議決定、と言ったプロセスに至る前に、本会としての発言を是非とりまとめ社会に向けてアピールしたいと考えております。

「よりよいまちなみの形成」「国、自治体、建築主、専門家の責務」「住宅の本来の性能評価」など、住宅基本法にうたわれている、多くの内容は、私たちが建築基本法で、建築に対して検討してきたことがらです。「一般の国民に理解できる法律を」と議論してきたことと共通しています。理念や責務を確認し、それをもとに建築士法の資格制度や基準法の詳細な規定の見直しをすることなしには、建築や住宅がますます本質を見失って行きます。

住宅政策において住宅金融や公営住宅に関する政策の見直しが必要であるとすれば、今回の政策転換のための立法化はその範囲に限定し、住宅のありかた・理念、関係者の責務を基本政策に展開するための法整備は、単に住宅に限定することなく、「建築基本法」制定の議論に向けて、専門家、一般国民のより広い範囲の議論の上で、審議・検討されるよう、申し入れたいと考えます。