新年を迎えて

◆新年を迎えて

建築基本法制定準備会会長 神田順

昨年は、8月に皆様のご協力の下、本準備会を立ち上げ、暮には臨時総会で前文と8条からなる建築基本法幹事会案を紹介、さらに議論を進めようと
いうところまで参りました。

年頭にあたり、これからの会の進め方について会長として会員各位に所感を述べさせて頂きたいと思います。大きくは2点、会員の増強についてと今後の展開をにらんだ議論の進め方についてです。

現在、会員数は230名程度で、発足時点からあまり増加しておりません。また、多くの会員からも指摘されているように、構造系の会員が多く、設計や設備さらには、事業主の立場の会員の比率が少ないという問題を抱えております。「趣旨は良いけれど、構造の人たちだけがやっているのでは参加しづらい」との見方が生まれ、バランスの良い議論にならないと言われております。この状況を乗り越えるためには、ひとえに会員各位が、仲間を広げていただく他はありません。日ごろ美しい街並み作りが近視眼的な経済論理でゆがんでしまっていることに直面し、基本を変えなくてはと思っている人たち、断熱気密にして機械換気することが法律化されるような矛盾をなんとかしたいと思っている人たちは大勢いると思います。意見を掘り起こして、会員増強をお願い申し上げます。

次は、進め方です。発足時点から、私としては、理念をすべての建築関連法の上に置くというための基本法作りなので、内容的合意はほとんどできているとの思いもありましたが、いざ文章にすると、やはりいろいろな意見が出てきます。次期の定期総会を4月頃に予定しているので、それまでの間は、建築の理念と専門家の責務に対して、改めてさまざまな視点からの議論を掘り起こし、検討したいと考えております。一般に、基本法はその後段に、実施のための施策の具体的な項目や方策をうたうという構成がとられています。われわれが直面している建築基準法や建築士法の問題点はそれだけでは解決するわけではなく、さらに、それを受けて、国が基準法や士法の抜本的な改正を進めること、そしてその運用が適切に進められること、社会が基本法の理念の実現に向けたシステムとして動くことが大切なわけです。

これらの道のりは長く、基本法がわれわれの希望する方向で制定されたとしても、5年や10年という長い時間に向けて継続的なかかわりが必要と考えております。しかし、本会の任務は建築にかかわるシステム変革の大綱をつくること、そしてそれが建築基本法制定の目的の要であることを認識し、有限な時間と有限な仲間の中で、最大限の成果があげられるようお互いに知恵を結集したいものです。

この1年が、建築に思いを寄せる人々により、有意義な建築基本法案の提案につながり、さらにそれを一般の国民の議論へと進めることを期待して、制定へ向けての決意を新たにしたいと思います。