Building Fundamental Law Council

趣旨

建築基本法制定準備会趣旨書(PDFファイル)

2003年8月6日

建築基本法制定準備会 趣旨書

建築基本法制定準備会代表 神田順

建築基準法が、1998年6月に大幅に改定された。そのねらいは、規制緩和、国際協調、性能規定化、自己責任、民間審査機関の導入などであった。ただ、その審議のプロセスがみえず、法文が具体的に示されてから、わずか2-3ヶ月のうちに国会を通過するという状況であった。衆参両院の委員会においても、審議をするというよりは形式的にその過程を経るというものであった。このような形で、建築のための重要な法律が改正されて良いのか疑問をもったのが、本会設立のきっかけである。

建築基準法と建築士法は、戦後のわが国の建築生産のプロセスの両輪として機能してきた。しかし、その後、都市計画法、消防法、耐震改修促進法、土地基本法などなど実に多くの建築関連法規が同時に存在するようになり、しかも、法律の起草時点では1つの法律の整合性のみを考えるため、全体の整合性、調和、論理性が無くなってしまっている。今後、基準法による規制はコンパクトにし、建築士法も実態と合う形に直していく必要があることは誰しも認めるところと考えるが、そのときに全体のバランスを失しては、今と同じ混乱をもたらす。まずは、あるべき建築の理念を多くの関係者が確認し、その理念の下で、すべての建築関連法を改定していくことが取るべき道と考えられる。

個別の法の問題点を出して全体の整合性を見ながら改定していくことは、極めて多くの人手と時間を要する。おそらくは、10年かそれ以上の継続的な努力が必要であろう。しかし、それを始めるための基本理念の審議は、それほどの時間を要しないと考える。具体的な条文も、10条程度の短いもので良いと考えられるし、何よりも一般の人が理解できる文章にすることが大切である。それにより、国民の総意としての基本法が、建築の良し悪しの原則が、一般の人にも見えてくることが期待される。すでに、私案の形で公表されているものもあり、準備会として決議できるものを、国会議員との連携を保ちつつ作成し本会の成果としたい。

建築基準法はその第1条において、国民の生命・健康・財産のための最低の基準を定めることを目的とするとうたっているが、こと安全のための技術規定に関しては「基準」という呼び方のためと、安易に頼れる便利さとから、唯一の基準あるいは安心のための水準と受け取られている。その他、健康のための条件、建築物集団としての規制に関しても、最低条件であるにもかかわらず、一部の人々からはあるべき基準あるいは権利とさえ見做されてしまう。

最低限守らなくてはいけない規制を定めるのみで、技術が建築を国民の望むものにできるかというと疑問である。特に建築基準法は建築生産に及ぼす影響が大きい。今こそ既存の枠組みにとらわれずに、より良いものを生産すべきであるという基本的な建築のあり方に対する姿勢を、建築界から発信すべきである。あるべき姿を確認し、そのための技術の使われ方が国民のレベルで納得できるものでなくてはいけない。また建築にかかわる、建築主、設計者、建設業者、行政などそれぞれの立場における役割・責任についても明らかにして、わが国における良好な建築の環境を作り出すことを高らかにうたうべきである。また、行政の過剰な干渉を排することも必要である。同時に、建築主、設計者、建設業者の社会的規範性をうたい、専門家としての説明責任を全うすべきことが、詳細な法的強制力をもつ規制作りに優先することも確認すべきである。

一般に内閣による法令の改正は、現行規定の否定を本質的に避け、規定を追加する形で行われる。50年を経た建築基準法も例外でなかった。性能規定を目指したものが詳細な仕様規定となり、学術的な整合性よりは法的文言としての矛盾がないことを優先するため、学術的な用語も含めて不自然な記述が累積する。説明がつきにくいままに、形式的に確認する項目だけは増大してきている。それは建築にかかわる専門家の判断能力や科学的思考を抑えることとなり、創造的な設計行為にとっての大きな障害となっている。

このことは、基準法のみに当てはまる問題ではない。さまざまな建築関連法規にあっても同様である。加えてそれらの全体的な整合性や、建築を建てるときの街並みに対する配慮などはほとんどなされていない。多くの法令は、補助金を国会が正式に認めるためのものとして立法化され、その目的も多くは「公共の福祉に寄与するため」となっている。しかもその「公共」の定義はあいまいで、経済論理による建築関連法令がきわめて多いことも指摘できる。そして、それらの法律が今日の都市を作った。このような現実を放置して良いとは思われない。建築規制関連法規が建築の質を無視した政治と経済の力関係により立法化され、その意図が国民に見えにくくなっている現状を一日も早く改めるための行動を起こすべきである。

新しい建築へむけて、われわれの住環境をより価値あり豊かなものにするため、真の公共の福祉を考えて、それにふさわしい「建築基本法」の原案を検討し、その立法化の行動を通して、建築基準法、建築士法、都市計画法等の抜本的改正による理念形成のための出発点とする。そのための具体的なアクションとして大きな意味を有すると考えるものである。以上の趣旨を理解される個人が集い、国民を代表して建築の基本としてのあるべき姿を成文化するために「建築基本法設立準備会」は発足する。

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